サッカー審判員が解説する「あの判定、おかしくない?」

リバプール&フロンターレのサポーターでもあるアマチュア審判員が、レフェリーのことや、実際の試合で下された判定についてのコメントをしていきます。 レフェリーの視点から見るサッカー、判定やルールのこと、レフェリーの考え方をお伝えしたい。そうして、よりサッカーを楽しんでもらいたい、より良い形でサッカーファンが増えてくれたら嬉しい。そんな思いで書いていきます。 実際の試合の判定について、疑問・疑念を抱いた方はぜひ聞いてください。 試合の情報をいただければ、一人のレフェリーとして、はぐらかさず真摯にお答えします

小林悠選手が倒されたのはノーファウルか?【2017ルヴァンカップ決勝 セレッソ大阪-川崎フロンターレ】

 こんにちは。ハイジです。

 ブログをはじめてみました。あまり体裁にこだわらずに書いていきたいと思いますので、気軽に読んでいただければと思います。

 

 さて今回は、昨日のルヴァン決勝について。

 フロンターレサポの私は現地にいましたが、なんとも悔しい結果でした。「あそこでああしていれば」「あの時こうだったら」とどうしても"たられば"を並べたくなってしまいます。

 その"たられば"のひとつに挙げられるのが、65分、裏に抜け出した川崎フロンターレ小林悠選手がセレッソ大阪・木本恭生選手に倒されたプレーでノーファウルと判定されたシーンでしょう。

 

 映像を確認してみましたが、このノーファウルは正しい判定でした。

 確かに木本選手の手は小林選手の肩にかかっていました。しかし、その手にはそれほど力が加わっておらず、あのような倒れ方をする原因となったとは思えません。実際、正面からのリプレイでは、木本選手の手がほぼ外れてから小林選手が倒れたように見えます。「コンタクトはあったが、ファウルをもらおうとして意図的に倒れた」と判断するのが妥当で、ノーファウルでプレーを続けたのは正しい判定と言えるかと思います。

 

 このあたりの見極めは難しいのですが、さすが西村主審、といったところでしょうか。

 西村主審は激しいボディコンタクトを容認するタイプのレフェリーで、なるべくプレーを続けさせようとします。そういった判定基準だと、激しいプレーと不正なプレーの見極めが非常に難しいのですが、西村主審は不正なプレーを見逃すことは少ないですね。(もちろんたまにはありますが。)

 この西村主審の判定基準は、日本国内の基準だと多少緩く見えますが、国際基準から見れば一般的なものといえます。国際審判員に選出されるのも納得です。あるいは、国際審判員としての経験がそのような基準を作ったのかもしれませんね。

 

 ちなみに、意図的に倒れたのならシミュレーションではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが基本的にシミュレーションは、何もない状態からファウルをもらおうとする行為、と捉えられることが多いです。今回は、コンタクトはあり、ファウルとなるきっかけはあったが、そのきっかけを意図的にファウルに結びつけようとする行為ですので、シミュレーションを取らず、プレーを続けるという判断でした。

 ファウルとなるプレーを1とすると、

「0を1にしようとする行為」  →シミュレーションにより警告

「0.5を1にしようとする行為」→ノーファウルとしてプレーを続ける

といった感じです。

 

今回はこの辺で。

 

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